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ごあいさつ


「KURAKIN」は2008年に生まれた、「のこり染」を採用した暮らしの布具のブランドです。
明治22年の創業以来、私たちは繊維(布)の染色加工業を行っています。今は庭石となっています(写真上)が、直径60cm位の花崗岩の上部を碁石のごとく中高に丸く磨きあげられた石の上に一幅の織物の畳んだものを乗せて、左手で反物の端を持ち、右手に樫製の木槌(写真右)を持ち、二人の職人が差し向かいで唄に合わせて拍子をとり交互に織物を打って万遍なく平均に艶を出す仕事を業としてスタートしました。


その後、機械化が進み、一世紀以上にわたり衣料向け毛織物を中心とした繊維染色加工業を営んできました。平成に入ってから、円高の進行、アジア地域での繊維産業の発展とともに加速度的に布地製品の生産拠点が海外に移り、日本のもの作り、当社のもの作りに新しい価値観が必要な今、その切り口は何か模索する日々が続きました。その一つの方向性を、ストーリー性のある染色とデザインと丁寧に作られた日本製アイテムを融合させて、全く新しいブランドを作り上げることだと考えました。


まず、その染色として「のこり染」を提案します。
偶然始まった人との出会いから出来上がった「のこり染」。
私たちが口にする食品の使わない部分、その「のこり」で染色した布は、化学染料を使って人工的に作った色と異なり、人が自然に受け入れることのできる、優しい色合いが特徴です。デザインの分野は一般的にアイテムごとに細分化されていますが、デザイナーが奇抜なデザインを考えるものでは本来無く、使いやすさのための工夫や、日本人が昔から慣れ親しんできた生活スタイルとすべてつながっていると思います。KURAKIN製品のデザインは長くお使いいただけるようにシンプルを目指しています。


日本製品メーカーは布製品に限らず、安価な海外で生産されて輸入されることが普通となり、大きく衰退しています。危惧するのは、製品を作ろうとする人たちが上代価格を安く設定することばかりに関心が行き過ぎて製品そのものが早く寿命をむかえたり、消費者側も安易に廃棄と購入を繰り返すうちに、ほんの昔まで普通の日本庶民が手にすることができた製品まで無くなってしまい、手にする機会が失われてしまっていることです。エコロジー製品が革新的なものであるがごとくアピールされていますが、「昔は普通に使い回ししたり、再利用していたんだ」的なことをシニアの方から聞きませんか?
KURAKINの製品を企画していく上で、まず素材、製品そのものにすばらしいこだわりを持った日本メーカーを探しました。例えばKURAKIN製品に使っているタオルは、三重県のおぼろタオル株式会社製ですが、そもそもこのタオルは本当にすばらしい。使ってみればわかります。当社と同様に海外製品との競争で生産は減少していますが、効率が悪くても品質に妥協しない頑固なまでのポリシーには感服しました。そういったメーカーの素材や製品に「のこり染」を施した新たな切り口での製品化に応援をしていただいています。


オリジナルの「のこり染」は11色まで増えましたが、コンセプトに共感していただいた方より持ち込まれた限定色「のこり染」には食品のみならず、草や花びらにまで及んでいます。布地への染色は、紀元前よりインド・エジプト・中国・ヨーロッパで行われていたようです。染料として使われていたものは、植物・苔類・果物・貝・昆虫等を使用していたものと思われます。化学染料が誕生するのは、19世紀中旬と言われているので、たかだか150年ほど前のことです。天然色素の中で人は何千年と生活してきたわけですから、自然に受け入れる感覚を持っているのは当然かもしれません。
まず、KURAKINの優しい色合いの製品に注目していただき、よく見たら「のこり染」っていう循環を意識した染色方法なんだと納得してもらっています。

現在、生活用品は家にも店にもあふれ、利便性や価格だけでなく、デザインやブランドストーリーが自分の趣味嗜好やライフスタイルに合ったモノに囲まれて楽しみたいと思う消費者が増えてきました。
そのような方に、120年間、染色しか知らない職人が作った「KURAKIN」を使ってみていただけたら幸いです。


艶金化学繊維株式会社 代表取締役社長 墨 勇志